できそこないと呼ばれても、自分の夢を手ばなさなければ、いつか心の片われに出会う。そしてそのとき、世界は変わる…


あらすじ

まだ神々の力が息づいていた遥かな昔。地上では天の神・輝の大御神を信奉する輝の軍と、大地の神・闇御津波の女神を奉る闇一族、太古からの土地神が互いに勢力争いを繰り広げていた。なかでも不死の御子が率いる輝の軍と、よみがえりの民である闇の氏族との戦いは熾烈を極め、国家統一をもくろむ輝の軍は土地神を次々に封じていった。

村娘狭也は15歳。みなし子だった昔の記憶は、時々夢にうなされるものの暖かな村でほとんど癒えて、悩みといえば輝の神の御子・月代王へのかなわぬ憧れのみ。ところが祭の晩に鬼が来て告げた…お前は「輝」に敵対する「蔵」一族の巫女姫、水の乙女なのだと…水の乙女として仲間の元に戻れと求める闇の氏族に対し、今まで輝の領地で暮らし光を愛する狭也はその事実が信じれず、受け入れることができない。水の乙女の証の勾玉を残し彼等は去ったが、孤独感と絶望感に苛まれひとり泣く狭也。その狭也の前に、今度は月代王その人が立っていた…

月代王に望まれて輝の宮に上がった狭也を待ち受けていたものは、輝の長子・照日王との確執、先の水の乙女の存在、月代王への届かぬ思い。そして捕らえられた闇の氏族を助け出す為に忍び込んだ神殿で、狭也は運命と出会う。幼い頃から見続けた悪夢とまったく同じ場所に、同じように、その人はそこにいた…。剣の主、稚羽矢との出合いが狭也を不思議な運命へと導いていく…



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