ー 幼い日の固い約束を、それでも守ろうと、ともに思った ー


あらすじ

幼い頃から双子のように育った遠子と小倶那。川から拾われた身元のわからぬ赤子だった小倶那は、三野の地で遠子と幼いながらに想いあって過ごすが、常に居場所の無さを覚えていた。

ある日、三野を訪れた大王の御子大碓皇子が素性を隠してやって来た。三野の長の娘明姫が大王の妃としてふさわしいか見極め、都に迎えるためにである。しかし若い二人は互いに惹かれあい、苦しみながらも課せられた役目に准じる。その時、皇子は自身の御影人に小倶那を見い出す。「もう一度小倶那に会えるまで、女になんてならない」と叫ぶ遠子に「必ず帰って来る」と約束して旅立つ小倶那。しかし二人を取り巻く運命はここから大きな波瀾へと巻き込まれていった…

数年が経ち、あることがきっかけで大碓皇子は大王の元で辛い日々を送っていた明姫を連れ出し、三野へと向かった。その際に御影人として小倶那が皇子の身代わりを申し出て、命が危ういほどの大怪我を負う。目が覚めたとき、彼の目の前にいたのはあれほどまでに知りたかった、自分の産みの母だった…

小倶那の隠された素性が明らかにされるが、ふたりには運命的な対立が。一方は輝の血に添う剣の力、一方は輝の血を鎮める勾玉の力を秘めていた。あまりに強大すぎる剣の力に引きずられ、小倶那によって破滅に追い込まれるあまたの国々。故郷を小倶那の手によって滅ぼされた遠子は、剣を倒す力を持つ「玉の御統」を完成させるべく、勾玉を集める旅に出る。各地の橘の氏族をまわり良き仲間と勾玉を得て、様々な苦難の末、小倶那をついに捕らえた遠子は…



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