空色勾玉
ラジオドラマ

1989年 6月5日〜16日
(再放送 1990年 3月)

■■■■■ 全10回 ■■■■■

NHK-FM アドベンチャーロード 
原作:荻原 規子  脚本:佐々木 守


11年前に放送された空色勾玉のラジオドラマ。何でも肝心のNHKにはもう録音したものが残ってないみたいですね。私の場合はリアルタイムで聞いたわけではなく、録音したテープを人から頂いてやっと聞くことができました(杣友さんありがとう!)ここにはキャスティングと、個人的な感想をのせてあります(笑)

    稚羽矢 :宮川 一郎太
    狭也  :河合 美佐
    鳥彦  :西山 浩司
    月代王 :堀  秀行
    照日王 :峰  さを理
    語り手 :杉田 郁子


    以下は多分そうだろうという予想。
    何故なら配役を言ってくれないので…
    漢字もこれで合っているか怪しいです。

    岩姫  :阿部 澄子
    科戸王 :有川 ひろし
    伊吹王 :小林 治
    闇都王 :二宮 ひろし
    小鹿  :清水 愛
    奈津女 :寺瀬 めぐみ

(NHKなので声優さんではなく、ほとんど役者さんが演じています)


■ ■ ■ 注 意 ■ ■ ■


ラジオドラマの感想を書き連ねているうちに、原作のあらすじをかなり細かく書いてしまいました。当然ネタバレしてますので、未読の方はできれば読まない方がよろしいです。あと、ラジオドラマのダビングを御希望されてもお断りさせていただきます。申し訳ありません。



 ラジオドラマ冒頭

どっぱーん、という波の音で始まる「空色勾玉」(笑)ナレーション(岩姫)が入り、世界解説や前回のあらすじが語られます。そのあと『青春アドベンチャーロード 空色勾玉』とタイトルを言って本編に入るんですが、この『空色勾玉』の発音、私と違うんですよ…『勾玉』の部分が。『空色、勾玉』といったふうに区切って発音しているためと思われますが、私が田舎者だからというオチだったらどうしよう(汗)「稚羽矢」の発音も違うんですよね…あちこちで発音が気になりました(笑)

 第1話

 狭也の洗濯シーンから物語が始まります。(…狭也、声低い…個人的にはもうちょっと若々しく透き通った声がいいな…)原作と違って冒頭で夢の部分は語られません。そして、空色勾玉は「かぎ」と違って場面描写がナレーションで入るのです!だから狭也がひもを流すシーンでもナレーションが(笑)原作の文をリズムよく読み上げていくのはなかなかいい感じです(しかし、時と場合にもよると思う)
 「このひも、あんたの?」そしてひもを拾う鳥彦!これがいい声なんですよ〜!!かっこいい!ちょっと大人びた、でもやんちゃな感じがはまってました!狭也とのかけあいが楽しそう。で、岩姫がひもを返しなさいというわけですが、すごいかん高い裏声なんです(笑)そして!科戸!(爆笑)おっさん声なんですよ!この声で狭也をくどくのは犯罪と思う程に!(笑)息吹王のほうが若く感じるなんてあんまりだ!(笑)
 かがいのシーンでは真人が若々しい声で笑える。でも鳥彦の歌がいい(狭也はすごい棒読みっぽい…)、そして「狭也は俺のもんだ!」という鳥彦がかっこいい!男前!(それに対して狭也…かなり自己中心に聞こえるんですよね、何でだろう…
 「そこにいるのは誰だ」月代王は…BGM付きで登場!(笑)月代は涼やかでいい声です。狭也の「あなたは誰?!…月代王様?!!!」というところで第1話は終わり。ちょっと展開早いですが、全10回ならこんなものでしょう。
 
(しかし空色勾玉はかぎと違って「出演」を役者さんの名前だけ言っていくので誰がどの声なのかさっぱりわかりません…)

 第2話

勾玉をにぎりしめて、一人途方にくれる狭也、その前に現れる月代王。このシーンの月代は本当にかっこいいです(しかもBGM付)。やさしげでいて高貴な話し方で。(たらしですが(笑)この声であの台詞の数々を言われると狭也でなくても参るだろう)でも狭也は…芝居がかってるんですよね…私の気のせいでしょうか…かがいのシーンでは闇の皆さんはまったく出ません。すぐにうね女にならないか言って、狭也のうちで家族との別れのシーン、川辺でのシーンへと移り変わります。この時の鳥彦の口調が月代にやきもちやいてるみたいで可愛いです(笑)でも、鏡の巫女に襲われるシーンはカット!ありません!
 そして月代と仲良くまほろばに向かう狭也(笑)あちこち見てはしゃぐはしゃぐ。どうも同じ馬に乗っているようで月代が「しっかりつかまっておれよ」とか言ってました。照日王の登場シーンはことさら「女」を意識した話し方。いつもの男口調ではなく威厳のある「統治者」としての声。でも色気がある(笑)
 狭也が月代と一緒に照日と対面するシーンではすでに照日は部屋におり、狭也も隠れたりせずにすぐ挨拶(笑)当然あさぎ色の帯に変えることもないです。ここでの姉弟の会話はほとんどカット(泣)すぐに照日が「水の乙女…狭由良姫のように自ら命を絶たねばよいが…ふふふ…」といじわるに言って、狭也が衝撃を受けてこの回はおしまい。

 第3話

「前の水の乙女が、自害したというのですか?!」いきなり狭也が照日にくってかかるところから(しかも月代の目の前です)。この照日がまた嫌味で高飛車です(笑)でも月代がかえって優しいんですよ。童をつけてやろうかと言い出すのは月代なんです!そして狭也のうね女修行開始。さっそくホームシックになる狭也。そして鳥彦再登場!!声だけでわかるって!そして大蛇の剣のために潜り込んだと告白する鳥彦。原作なら檻の中でいう台詞のほとんどはここで語られます。水の乙女でなければ触れることもできない大蛇の剣を「誰かが鎮め守っている」ことも。
 そして話しているうちに暑いと言い出し、池で泳ぐ二人(笑)そこに大きな鯉が。『夏の夜に魚になりたくなるのは、わたしばかりではなかったのか』狭也に話しかける鯉の稚羽矢!しかしこの声は鯉らしく水の中でぶくぶく言ってるので残念ながらよく聞こえず。この後狭也は驚き、慌てて水面まで戻りますが照日王に誰何されるシーンはカット(泣)照日出てきません!この場は何ごとも無く終わります。
 そして翌日(?)クロ兄とクロ弟が騒いでいるシーン。何故かいきなり司頭登場。狭也に「祓い」の説明をしだします。そしておもむろに「あなたの童は大祓いの形代に選ばれました」と告げます。驚いた狭也は照日と月代に童を助けて下さいと懇願しますが、原作の怒りで覇気のある感じは省かれてますね〜「覇気があってなかなかよろしい。私はめそめそしたのが嫌いだからな」もカットですよよ(泣)ああ、でも照日が狭也の前であてつけるように、ねっとりと艶めいた言い方で「今宵は月の出が遅い。月代の君…暁までここで語り合おうではないか」というのはすごかったです。(ラジオドラマの照日王は原作のさばさばした男っぽい印象はあまりなく、月代に対しての女の部分を濃厚に感じるんですけど、これは狭也の存在を意識したものですね。すごい色気なんですよ。その後の「下がりなさい娘」がものすごく声のトーン低くてきつくて恐かった…)そして退出したものの呆然と鳥彦を想う狭也(月代のことはどうした)。そして照日が御所を留守にしている今夜がチャンスだと思い立ち、鳥彦救出へ!
(しかし、「みめ」「みこ」の発音が…しかも「ちち」ってなによ)

 第4話

 「鳥彦…待ってて。必ず助けてあげるわ」と、照日の御所に忍び込む狭也。星の井戸の水汲みシーンを経て、奥の宮へ。(このあたりからだんだん音楽が早くなってきて緊迫感が伝わってきます)きしみをあげて開かれる白木の扉、松明のはぜる音、照明というには明るすぎる光が列をなし奥まで続くーそして怯える自分を叱咤した狭也の目に、祭壇の姿が、その前に座す巫女の後姿が目に入った。
 「このごろは夢とうつつの区別がつかなくなる。あなたとは、前にどこかで会った気がするのだがどこだろう」稚羽矢登場です!!!!!声は女性と間違えるわけないだろうと突っ込みたくなりますが(狭也も「月代王の弟さん?」とか言ってるし)、ほどよく低く、涼やかで無邪気な感じ。棒読み調ですが、これが「稚羽矢の演技」なんでしょう(笑)最初のうちは淡々として、あんまり感情の起伏がないんです。本当に心ここにあらずといった感じ。しかし「あなたは姉上に似ている」も「だって、あなたは婆ではないもの」もカットですよ!!(泣)しかも狭也もやる気に満ちあふれてて、がっくりもためらいもないし(まあ、そこまでやってる時間ないから)「助けれないかもしれないけど手段を尽くしてみるわ!」って…。しかしネズミを喚ぶ稚羽矢の「チーッチーッ」というのが妙におかしい(笑)そしてネズミになった狭也の「チュチュチュチュチュッ」という会話が可愛い(笑)忌屋での鳥彦は「早く戻れ!あんたは今剣に手が届くところにいるんだよ、早く戻らないと叫ぶぞ!」と無理して狭也に戻るよう言います。急いで戻る狭也(しかし自分に戻る時に暴れるシーンもカット)。
 そして鳥彦を助けるために大蛇の剣が必要だと告げる狭也。大蛇の剣は誰にも触れる事ができないと稚羽矢が言うと、水の乙女であることを告げ、それをあっさり信じる稚羽矢。(1秒もためらってません)ちなみに狭也の「剣を持って一緒に出て行きましょう」はかなり強気な断言口調です(笑)そこはほほえむとこじゃなかったのか?さらに!「禍つものとののしられたことなら」とか「とてもよく似てるんだわ」とか「あの禍々しい剣をあたしに下さい」もぜーんぶカット!(号泣)これだけ狭也らしい台詞をカットされればそりゃ強気にも自己中心にも聞こえるわけだよ…原作のこのシーン大好きなのに…

 第5話

 石の棺から大蛇の剣をとる狭也。「この剣を持ち去ったらあなたはどうする?」「姉上は私に失望なさるだろう」淡々と答える稚羽矢。そして父神と母神のことを思っているとさまよいだすため戒められていることを話す。しかし狭也はそんな稚羽矢に「あなたはその足で地上を歩きたいんでしょう?」と語りかける。
その頃輝の姉弟は共に夜を過ごしていたー(でも「たわむれはおしまいだ」はカットです)が、そこに大蛇の歓喜に満ちた咆哮が響き渡った!うなる剣を抱え西門に走る狭也、走った事がないという稚羽矢と共に(笑)あと一歩、というところで輝の姉弟が立ちふさがった!
 とりあえず一言。照日…お色気最高潮です(笑)でも稚羽矢の話題を出されて激昂するときの苛烈な印象は原作のイメージにすごく近いんですよ!気高く凛々しい。そして稚羽矢のぼけっぷり、月代のたらしっぷりも最高潮、狭也は人生強気に悟ってます。しかしいきなり剣を支え切れなくなる狭也!狭也を闇の氏族の元へ送り届けると言う稚羽矢。(初めて意志を表わすシーンだと言うのに見事なまでの抑揚のなさがかえって稚羽矢らしいです…)行かせまいとする照日王!しかし大蛇の力はさらに膨れ上がり総てを炎の海に変えてゆくのだった。
 その惨劇にまぎれ輝の宮を逃げ出した2人。何と闇の氏族が2人を連れ出してくれたのだった。だが、鳥彦が輝の宮とともに運命を共にしたと知って嘆き哀しむ狭也。そこへカラスが飛んできたが…何とそれはクロ兄の体に心を移した鳥彦だった!
 あははははは、この鳥彦楽しいんですよ。鳥らしさを出そうとぎこちない話し方してるせいなんですけど、ちょっと野太い声になってます(笑)でも「あなたにはなくすものがないから、わからないんだわ」はカットでした。そして一番おかしいのは最後に狭也が「鳥彦…見てて。きっと仇は討つわ!」と力一杯断言してる所でしょうか(笑)死んでないって…(しかもカラス化を知った後の台詞なのに)

 第6話

 岩姫の元に呼ばれる稚羽矢と狭也。(ちなみにいきなり鷲乃庄の岩姫の部屋)闇の氏族が揃いぶみした、その場で「大蛇の剣をふるうもの」、「風の若子」が輝の御子である稚羽矢であると告げられる。戦を嫌う狭也の心とは逆に、闇の氏族は輝との戦を決定し、まずは軍馬の調達のために牧へと向かうが=
 というわけで、狩りのシーンはありません。いきなり決戦ですよ。伊吹王との稽古シーンはけっこうスパルタです、どちらかというと七掬思い出すなあ(笑)しかし、闇都王が稚羽矢に矢を射かけるシーンはカット(泣)当然狭也がくってかかることも、科戸が過去を語る事もありませんでした…ここは省いてほしくなかったよ…科戸が初めて狭也を認識するシーンではないですか。
 そして戦が始まった。稚羽矢が馬の頭を呼び、一気に流れは闇の軍勢に傾く。その瞬間、狭也の耳に社の鏡が割れる音が聴こえた!鏡に封じられていた「何か」が溢れだし、近寄ってくる!稚羽矢は剣をふるい難を逃れたが、背に大怪我を負ってしまう。輝の御子が持つ若水の力のために徐々に傷が治っていくのを目の当たりにし、うろたえる狭也。しかし国津神が稚羽矢を襲ったのは、その身に流れる輝の血のためだった。
 この回は…狭也が完全に治った傷を見て「稚羽矢…あなたはやはり私たちとは違う。輝の御子…輝一族なのですね?!」という言葉にこめた感情がいやーな感じです。違う生き物だと言い切ってる。恐れや畏怖が混じってるんですね。少なくとも狭也からはそんな言葉聞きたくなかったなあ。

 

 第7話

 科戸が稚羽矢を最前線に引き連れて、出陣となる。闇の軍は徐々に輝の領地を突き進んでいく。しかしその最中、稚羽矢が胸を射ぬかれた!若水にて大事にはいたらなかったものの、周りの人間は皆、稚羽矢の死ぬ所を見てしまった。闇の氏族の中に輝の御子がいるということで軍の中にも動揺と憎悪の波紋が広がっていく。さらに国津神の群れがまだ動けない稚羽矢を襲う!
 奈津女この回で初登場!可愛い!若い!(笑)そして剣を抜いていないのに、力が発動した時に「ただ、私はあなたを守りたいと…」と切々という稚羽矢が何か真剣で可愛いです(笑)大蛇が自分の中に巣くっていると告げる稚羽矢に「それならあなたは、大蛇を閉じ込めたのだわ」と言う狭也。違うとらえ方もあるのだと、それをよい方向に導けばいいのだと狭也から学ぶ稚羽矢。でもオチは「狭也がそう言うのなら」(笑)しかし伊吹王に久し振りに再会した時「いつかは、お世話になりました」という稚羽矢、おかしすぎます…誰にならったんだそんな言葉(笑)そんな稚羽矢にくってかかる科戸王。(私情入ってるだろう…)
 闇の軍勢はさらに進撃していく。しかし突如として輝の反撃にあい、戦線は大きく乱れる。それは稚羽矢が裏切っているせいだという声があがり、稚羽矢は岩屋に監禁されてしまう!稚羽矢は狭也に大蛇の剣を託す。それはすでにただの剣でしかなかったけれど…
 「また、一人に戻っただけだ」と最後にいう稚羽矢が悲しいです。しかも前と違って、今度は「独りでない」環境を知ってからひとりになったから。でもこのラジオドラマ、明星出て来ないんですよ〜柾も出てきてないぞ?どうした!みたいな(笑)だから松虫草のシーンがないんですよ、信じられん…そして科戸の感情的なこと感情的なこと。でもオヤジ声。

 第8話

 岩牢の稚羽矢を見て、その仕打ちに憤る狭也と伊吹王。しかしそのころ、陣内で一人の女の子が拾われていた…その子は小鹿と名付けられ、狭也が引き取った。が、それこそがこれから起こる悲劇の原因であった。小鹿は不死である輝の御子を殺す方法を兵士達に教え、それを信じた兵士達の間でよからぬ噂が流れるようになったのだ。しかし奈津女だけは小鹿に禍々しい物を感じていた…それもそのはず、小鹿は照日王であったのだ!勘のよい奈津女を疎んじた小鹿は奈津女を稚羽矢の目の前で切り殺してしまう。稚羽矢の目の前で少女から成人女性へと姿を変える照日王。彼女は稚羽矢を連れ戻すために姿を変えてまで闇の地にやってきたのだった。しかし、帰らないという稚羽矢。だが、照日が去った後、その場を発見した兵士達はそれを稚羽矢がやったものだと思い込み、稚羽矢を取り囲んで殺そうとする!
 小鹿登場!本当に子供が声をやっているようです。ちょっと舌足らずな感じが可愛いです。こんな子供なら絶対油断するでしょう(笑)でもそれが照日王の声に瞬時に変わるシーンは本当に迫力あります。ラジオドラマ中に「無気味な女の声のする幼女」という表現があるんですが、まさしくそんな感じ(笑)ちなみに狭也が奈津女の骸を見て我を忘れるシーンもカットです。さみしいねえ…でも伊吹王が稚羽矢に立ち向かっていくシーンはばっちりです(笑)
 稚羽矢を失い、伊吹王を亡くした狭也に岩姫が語りかける。狭也はその言葉を信じ、もう一度稚羽矢を取り戻すために、稚羽矢を探す旅に出る。

 第9話

 鳥彦と一緒に稚羽矢を探す狭也。ちょっとポエマーな狭也(笑)稚羽矢は半分死んだような姿で波打ち際に打ち上げられていた。わだつみの神に会いに、海の底までいってみたが、途中で追い返されたと言うのだ。狭也は稚羽矢にナツメを殺したと思い込んでしまったことを謝ろうとするが、稚羽矢には「謝る」ということがわからない。神には「許す」ということがなかったからだ。なんとか和解して闇の氏族に戻ることになった稚羽矢。しかし2人で戻ろうとしたところに輝の軍に襲われる!兵を率いていたのは何と月代王であった。月代に拉致される狭也。狭也に危害を加えぬと言う条件で稚羽矢は手出しをせずに2人を見送る。
 洞窟で1泊するシーンカット!(号泣)「あなたを異形と呼ぶなら、あたしも喜んで異形になるわ」も無いんですううう!!!!!(泣)悟りを開くまでの時間が恐ろしく短縮されてます。おかげで狭也が別人。せっかちさんになってます。そして、月代と稚羽矢の対決では弓を射かけないんですよ!狭也をかっさらわれたときの「狭也になにかしたら、みんな殺してやる」もカット!この嫉妬まじりの発言が稚羽矢の成長を感じさせて好きだったのになあ(泣)
 一方、月代王に連れ去られ、輝の宮へと連れて来られた狭也は月代にもう一度妃にならないかと言われ、それを拒んでいた。そこへ照日王がやってきた。何と狭也を大祓いの形代にしようというのだ!照日の監視下、高殿に閉じ込められる狭也。はたして闇からの救出の手は、稚羽矢は間に合うのか?
 ええと「後から正しい答えがわかることもあるのです」という台詞が…思いっきり、力一杯、言われちゃってますね(笑)聞く耳持たない勢いです。というか聞いてません。でも、狭也を斬ろうとする時の照日ほどではありません。「やってくれるな?」とか言いながら、心の中では決定事項です。さすが神の御子。ちなみに、うね女姿で働く稚羽矢のもとには鳥彦が急を知らせに行ったので、科戸の潜伏シーンや宴での稚羽矢舞いなどは一切ありません…さみしい(泣)

 第10話

 最終回。照日に斬られこと切れた狭也を見て叫ぶ稚羽矢。怒った稚羽矢は照日を許せずに剣の力をふるう。照日は月代と2人がかりで稚羽矢に立ち向かう!
 何がすごいってですね、対決シーンが省かれてるんですよ(笑)照日が「いくぞ!」と言った後は戦いの情景がナレーションにて語られるんですが、富士の火口での対決シーンは完全カット!!(号泣)どちらが勝ったともよくわからないまままに、いきなり狭也のもがりのシーンに変わるんです。「狭也…」と力無くつぶやく稚羽矢。そして狭也をもう一度取り戻そうと、闇の世界に降りるわけですが…岩姫様との会話は真剣で必死さが伝わってきて可愛いです(笑)今まではどんな決め台詞でも抑揚のない声音で淡々と語ってたのに、ここでは感情がひしひしと伝わるんですよ。成長したね、稚羽矢(笑)
 闇の国ではそのころ、黄泉時を下った狭也が闇の女神に照日からの伝言を伝えていた。しかし、そこへ稚羽矢が現れる!死の国に不死である輝の御子がまぎれこんだことで激怒する女神。しかし、何とか思いを伝えようと2人は必死に語りかける。女神はその思いを感じ取り何とか納得し、2人は再び豊葦原へと戻る。
 ここのポイントは、狭也が怒り狂う女神を勾玉で鎮めようと稚羽矢に「勾玉を!」と言うと「駄目だ!お腹の中だ!飲んだんだ」というところでしょう(大笑)素敵なぼけっぷりです…そして伊吹王出てきません(泣)そして狭也を連れて行くとだだこねちゃう稚羽矢もカットです、くそう!(笑)そして、生きた世界に戻ってきた2人を待ち受けていたのは、狭也の形代となった岩姫の死と、輝の大御神の降臨だった。
 父神に「何を望む?」と問われて、幾分上気した面持ちで、晴れやかに「天の宮へお供しとうございます」という照日が印象的。ああ、父を愛してるなあと。そして「死を賜りたいと思います」という稚羽矢の言葉には赫個たる信念がありました。稚羽矢が自分で決めて、自分で求めた願いであると感じられて、このシーンは実にかっこよいです。でも「最後まで違う道を選ぶのだね、しようのない弟」がカットされてたのはかなり許せませんなあ。私は照日の言葉の中でもこの台詞大好きなので(泣)そしてこの物語の終わりはやっぱり例の台詞です(笑)

「ところで、初めて聞くが、祝言って何のこと?」

 総合感想


全体的に聴いてみて良い出来だと思います。上記の感想を読む限りではけなしているように見えるかも知れませんがそんなことはないです(笑)15分×10回という短い時間の中で「空色勾玉」をまとめ直すわけですから、台詞を省略したり、原作のシーンを簡略化したりは当然ですし、これをしないことには何時間あっても足りません(笑)ただ、その省略されたり簡略化された部分に、私が「これぞ狭也!」とか「このシーンがあるから空色勾玉が好き!」と思ってた部分が多かっただけです(泣)おかげで狭也は強引ぎみなマイペース自己中娘だし、照日は色気たっぷりな悪役のお姉様だし、月代はナンパ君だし、科戸は親父だし(すいません、私にはそんなふうに聞こえたんですよ…)。おかげで彼等を彼等たらしめているものが、言葉の中にこもる感情であることがよくわかりました。「こういう状況に陥ったとき、こういう行動を、こういう発言をできるからこそ、この人はこういう存在なのだ」という感じ。このレポートを書くにあたり、空色を読み返しながら聞いていたので色んなところに突っ込みを入れていますが、ラジオドラマだけで聞いていると省略されてるなんて感じないんです。もちろん原作そのままに、生き生きと皆が会話しているシーンとかはとても楽しかったですよ。
声に関して言えば、狭也はやっぱり低いように思えました。稚羽矢は…合ってるんだけどちとぼけすぎ…。鳥彦は最高でした!科戸はあまりにもおっさん声で、照日は合っていたと思います。苛烈な感じの声が特によいです。月代は美声で惚れます(笑)。奈津女は若々しくて可愛い感じ。色んな意味で笑い転げたり、恥ずかしくてもだえたり、はらはらしたりしましたが、大変聞きごたえのある作品でした(笑)



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